「これ以上好きにさせんなって言ってんのに言うこと聞いてくんないし…、なんか、めちゃくちゃに綺麗なんだけど……」


花火の音で、あまり聞こえなかった。

綺麗だというワードだけは聞き取れた。

でも何故か花火ではなくて、私を見つめながら彼は言っていることが、どこかおかしい。

なんて言ったのかと聞き返そうとしたけれど、朝くんと花火が、あまりにも綺麗だったから、やめた。私も、彼の目をそらさない。


「あ、思ったんだけど、俺が喉潰れたら、翠起きてなくて死ぬんじゃない?」


今思い付いたのか、さらりと怖いことを言う彼に、私は直ぐ様「え!?」と声を漏らす。


「そんな面白そうに言うこと?でもほんと、そうなったら私、死ぬからね?やめてよ?」

「まあ、その時は蜂蜜飲んで喉治しとく」

「は、蜂蜜って…効き目あるか信じれないから、その時はお医者さんに、頼む、うん」


あの医者は、私をよく知る朝くんのお父さんと協力して、見事に、この病気を治せる薬や治療法を見つけ出した。

彼の病気だって解明され、治す治療法も、今では見つかっているらしい。

だが、やはり完全に治すことは難しいらしい。今、世界中の研究者やお医者さんが協力して、この未知の病気に挑んでいる。


「でも、俺が翠を起こしたいから」


はいはい、と私は笑って彼の頭を撫でてやる。それから、またぽっと彼の頬が赤くなる。


「…これからも、俺といてくれる?」


思わず、改まった言い方に笑ってしまう。「なにそれ、不器用か」とは言いながらも、私だって、改めて不器用に言ってやる。