「そりゃあ、四六時中人といるって怖いだろうし、約束くらいいい。翠のやりたいことしたらいい。俺は全然、何とも思わないから」

「…そっか、そうか、うん。慣れてきたしその約束、もういらないかもしんないね」

「俺は、翠のこと好き」


唐突な愛の言葉に、心臓が跳ねる。口を開けながら、「へ…」と変な声が出てしまった。


「何も変わってない。翠が死んだら俺も死にたくなるし、生きるなら、生きたい。翠は俺の心臓みたいで、…とりあえず、好き」


胸が温かくなる。いや、痛いくらいに熱くなる。これが、想う気持ちなのかな、なんて思う。


「怖いけど、聞くから」

「…なに?」

「…翠は、俺のこと―」

「好き」


言われる前に、言ってやった。

彼は肩から顔を上げて、驚いたように私を見つめる。少しだけ、彼の頬が赤くなる。


「いやいや、なんでそんなに驚くの?同居も、私と朝くんが互いに恋愛感情あるから許してくれたんでしょ??」


思わず笑いながら彼の肩を揺らすが、彼はまた、じっと私を見つめるばかりで。


「朝くん、」


花火の音がする。

彼と見る世界の1つ1つ、全てが綺麗だ。


ほんとは出会う前から綺麗だったんだ。

だけど、いつからか当たり前だと感じるようになった。バカな私には見えてなかった。

そんな私のことを、彼が気付かせてくれた。


上を見ろって、空が綺麗なんでしょって。

私の世界を、変えてくれたんだ。


―世界の綺麗なものを、本当に綺麗だと気付かせてくれるのが、心の底から思う、恋人。


それから、桜色の唇が開く。


「あーあ」


どこか愛おしそうにため息をして、低くてクールな口調に変わる。全然、ほんとはクールじゃないのに、彼は猫を被る時がある。