―バーンッ



大きな花火の音がして、頭上に目を向ける。花火だ、今のは始まりの合図を示す花火だ。

まずい、始まってしまった。


「朝くんどこ…!?」


焦りと不安が募っていく。


髪飾りを着け直しながらも、出店が並んでいるのを横目に小走りで進んでいく。

提灯が並び、夜なのに夜感じさせないほど、光って賑やかだった。

履き慣れない下駄で、うまく歩けなくて今にも転けてしまいそう。

子供、友達同士で笑い合う女子、おばさん、おじいさん、カップルだってそこら中にいた。埋もれながらも、人に流されていく。


スマホも繋がらない。

彼が見てないだけか、人が多すぎて回線が…みたいなこともこの状況なら有り得る。


その時だった。

石か何かに躓いて、視界がぐらっと変わる。


「っ…」


転けてしまったらしい。

状況を把握した時には、誰か男の子が「大丈夫?」と私に手を差しのばしてくれる。情けない私は、苦笑いながらも起き上がる。


「あ」


その男の子に、見覚えがあった。

少し、背が高くなったみたいだ。

今度は私の方が、助けられちゃった、か。