―ピーンポーン、ピーンポーン…
今日も、規則的にインターフォンの音が、部屋中に鳴り響き始める。
彼は、1つ、約束を破っている。
彼が私のお母さんについた、1つの嘘。
「あ、出ないと」
寝巻き姿だけど仕方がない。ベッドから降りようとすると、腕を引っ張られ止められる。
「一緒に寝とこ?俺、まだ眠いから」
「え、いや、無理、です、人来たし、なんか、恥ずかしい、出ないと」
「自分から来たくせに何言ってんの」
ほれほれ、と力負けでベッドに引き戻される。
その布団の中が温かくて一瞬眠りそうになるも、首をぶんぶん振って目を覚ます。
「っなんで眠いからって私も巻き沿いに…」
やばい、これは本当にやばい。無自覚って自覚のある私でも、危機感は感じた。
心臓がドクドクと、嫌なリズムを奏でる。
逃げないと、このベッドから…
いやそんなことできるのか…?
「ドア、開けないと」
「あいつ?前、鍵渡したし勝手に入ってくるって」
「いやそれがだめなんです!!こんな一緒に寝てるの見られるとか………無……」
「なに想像してんの」
笑いながら、「そーいうのは顔赤くして」と彼は手の甲で私の頬に触れる。
それがやばいんだ。流石にベッドに2人で寝てるところを見られるなんて、絶対、嫌だ―