でも、俺は違う。
彼女が消えたその衝撃は、明日の俺の太陽という生きる存在を、消し去るんだ。
名前を呼んだきり、話しかけようとするも声がでない。喉に何かが詰まったように。
その理由は、わかりきってる。どうせ、あの約束をしてしまったから。
俺はそれをずっと、守ってきたから。約束してって彼女の顔が、嫌なほど、鮮明に焼き付いてるから。
―ピっ……ピー……
音が遅くなっていく度に、頭痛も増す。
目を閉じる相手に話しかけるのは、どうしてこんなに、怖いものなんだろう…?
どうしたらいい?
―「眠る私を、起こさないこと」
約束、破ってもいい?
―俺のことを、好きになってから
その時だった。頭に、誰かの声が鳴り響く。紛れもない、自分の声だった。
―私と一緒に、寝てください。
ああ、そうだった。
俺はゆっくりと言葉を決めて、口を開く。
「覚えてる?なんだかんだしてて忘れてたけど、あの、風が強かった時に」
上下に揺れる彼女の体が、段々と、静まっていくのがわかった。
「俺のこと好きになってくれたら、俺が起こしてあげる、みたいな?バカみたいに呑気に言ったの、覚えてる?覚えてないか」
思い出して、思わずふっと口が緩む。
今考えたら、あんなに呑気にカッコつけて、俺はなに言ってんだろう、なんて思う。