「ひるー」


―彼女が眠った夜、猫のいるベッドに飛び込んだ。時刻は、もう明日になっている。

眠っていたがひるは、俺がベッドに飛び込んできてしまい目覚めてしまった。ひるは毛づくろいをしてから、抱きついてもいい、とでも言うように腕の中でもじっとしてくれた。


「あの人、眠った」


頭を優しく撫でながら言う。猫に状況報告がしたいわけじゃないけれど、自分に、言い聞かせたかった。


「あー…眠たい」


思わず目を擦る。なんだか、うとうとする感覚がある。彼女のことを思えば思うほど、眠気、睡魔、といえるものが襲ってくる。


そう。彼女と話したり会うと、夜、眠れる。

今日もそれだ。久しい眠気が自分を襲う。

俺はやっぱり、あの人がいないとだめだった。











絶対に絶対に、約束は守る。

夏、秋、冬、春……

四季が過ぎていく。


彼女は起きない。瞼を閉じている。何日も何日も閉じている姿を見ると、黒く深いあの瞳を思い出せなくなる。それが、辛かった。

病室内では、声を出さない。ただ、見るだけ。それでもいい。

病室に来る意味は、絶対にあると思った。理由なんて、いらないくらい。


―毎日訪れていれば、色んな人と会った。