―隠し続けていたある日、バレてしまった。

どうして相談しなかったのかと当たり前のように父親に言われる。それでも、優しい茶色い目は、怒りの目にはなろうとしない。


「もう何週間も寝てない…か…、毎日毎日眠れなくてストレスや疲れもとれず辛かっただろうに………」

「あー、そういう患者扱いとかいいって。ただちょっと寝れない不眠症ってだけ。気にしないでいいから」


後から聞くと病気は、不眠症なんて軽いものではなかった。もっと、未知で恐ろしい病気らしい。よくわかろうともしなかったけど。


何週間、何ヵ月、何年と眠れなくなり、最後にはどうなるかわからない。

疲れ果てて精神的にも参って死ぬかもしれない。それほど、睡眠は大切だった。


この病気の事例はなく、自分が初めてらしい。病名付けていいよ、なんて言われて、嬉しくなる人がどこにいる?と思ったけど。


「あの子に会ってほしいなぁ」


ある日、突然父親は言った。


「朝と真逆のような病気の、あの子に」


あまり何を言ってるのか理解できなかった。これが彼女のことだなんて、知らなかった。