彼女が眠っている間は、一切と、彼女に会おうとはせず、彼女からの言葉を待ってた。


―だけど、決めた。これからは毎日、この病室に訪れるようにするってこと。


溶けそうな暑い夏も、凍え死にそうな寒い冬も、雷の降る嵐の日も、どんな日だって予定や勉強の合間を縫ってここに来るようにする。

起こさない。ただ、その約束を守りながら。








夜は眠れない。朝も昼も夜も同じだった。いつからか、眠気というものが来ない。眠気とは何なのか、よくわからないくらい。


眠り方を、俺は忘れてしまった。眠ったことは何度もあるのに、ある日、突然。

目を瞑っても、ただ、瞑ってるだけ。それから眠りに入ることが、よくわからない。

時間が過ぎていく。1秒1秒が、長く感じた。


夏は最悪だった。蒸し暑くてイライラが止まらない。夜になると、世界はみんな、眠ってしまう。自分ひとりだけを残して。

キラキラとした笑顔で朝を迎える人が羨ましかった。今日をリセットし、全く別の明日へ進んでいこうとしているんだから。


―でも、俺は違う。ずっとずっとループする、長い1日を、ただひとり生きている。


別に、死ぬ病気でも相談するほどでもない。それでも、病院には通ってた。バカらしいからこそ、家族には特に相談しなかった。

自分の部屋が寝床だし、まず家族にはバレることはなくて。