「なんでこんなに怖いかなぁ…」


私は、仰向けになりながら涙を手で必死に拭っていた。拭っても拭っても、視界がぼやけて、涙で満たされていく。


「この目を閉じたら、世界から私は消えてなくなって、いつか忘れられて。もう一生、朝くんと、会えなくなるかもしれないね…」


そうだった。私は、怖かった。


「俺はちゃんと生きて、最期には、一緒に死にたい。今は、その夢に変わった。…だから、俺は、翠さんを待ってるんだよ……?」

「うん…」

「先には死なせない。置いていかないから」


眠たい、ああ、眠たいよ…

猛烈な眠気に襲われる。瞼が鉛のように重くなる。目を瞑ってしまえば、私は間違いなく、眠りに落ちる。


「ずっと、溺れてるみたいで、ずっと、まどろみの中にいるみたいだった。笑うしかなくて、感情が消えていって、なんとなく死にたくなって……でも、」


この雨が止んでしまっても。

どんなに辛くて息苦しい世界でも。

私は、何度だって言いたい。



「私は、朝も夜もこの世界も大好き」



涙が溢れる。ああ、朝くんの顔が見えない。

全部、どうでもよくない。一瞬一瞬が、大切で尊いものだ。愛を、知ってしまった。本当に、最悪だ、全部、朝くんのせいで…