泣き止んだように、目と鼻を赤くした男の子は、私に聞いた。


「ねぇすいちゃん」

「ん?」

「明日も会おうよ」


会ってくれる?ではない。会おうよ。

私は少し間を空けて、笑いかけて言う。


「うん、会おうね」

「やったあー!!トランプしようよ!僕ね、スピードっていうゲーム強いんだよ!!」

「うん、しようしようか!」


どうして嘘をついたんだろう。この子に、ただ、酷い思いをさせるだけなのに。

明日なんて、どうせ1日中眠っているくせに。


―辛いことも悲しいことも痛いこともなく、眠っていれば時が過ぎていく病気。


でも同時に、嬉しいことや楽しいこと、幸せだと感じることは、失くなるんだ。

なんて、悲しい病気なの……


「すいちゃん、ありがとう。僕、すいちゃんがいなかったら今ごろまだ泣いてたよぉ」

「そんなことないよ。私以外の他の人だって、きっと助けてくれたから」

「ううん、僕はすいちゃんがいい。優しいお姉さんよりおじさんよりも、僕はすいちゃんがいいもん」


病室の前までついた。泣きじゃくっていた男の子は、もうすっかりと、お兄ちゃんになっていた。男の子の目線と合わせてしゃがむ。