優しい、雨の音がする。

一粒一粒キラリと輝きながら、重力に従い落ちていく。雨は、止むことなく降っている。


「朝を迎えるのが怖くて、毎日当たり前に来る朝を憎むけれど、日が昇る限り、どうにでもなることばかりだった」


朝は、とても尊くて、大切なものだった。


「何度も見失うんだけど、当たり前に出てた朝陽を見ると、もうどうでもよくなる」

「っ…」

「これを、朝っていうんだよ」


胸が痛くて痛くて、仕方がなかった。こんなに綺麗で美しいものを、私は何度失い、見れず、見ようとしなかったのだろう。


「てことで」


急に朝くんは立ち上がった。

そして、私の腕を掴んだ。


「俺の勝ちね?」


引っ張られて私も立ち上がった。座っていたためが、足が一瞬痺れて倒れかけたが、朝くんが軽く受け止めてくれる。

連れられ、バス停の外へ出た。


「いや、私の勝ち」


川は、空や街、朝の全て反射していた。朝くんがこのバス停に連れてきてくれた理由がよくわかるほど、とても綺麗だった。