昼間とは打ってかわって少ない車の数。だけど物騒な程歩道は暗くもないし、私と同じくらいの学生もチラホラ歩いてる。


『何処だ?…あれか?』


立ち止まって待っていたら、見覚えのある車のライトに照らされて、眩しくて一瞬目を細める。
ウィンカーを左に出して停まる白い車。


『乗れよ。切るぞ。』


返事をしないまま電話を切られて、胸がドキドキしながらイヤフォンを外して、まだ見えない相手の車の助手席のドアを開ける。


開けるとそこに、


あの時と同じ、バイト先の駐車場で嗅いだ車の芳香剤の香りがふわりと広がって、とろけるような、また、むせ返る程の強い匂い。


「おう。お疲れ。」





むせ返る程の、まーちゃんの存在。





半分になってしまった愛情の水が、勢いよくまた溜まっていくような、

そんな感覚。