「ぷは…っ!…せんごく、くん」
向かってくる何人かを振り切って、やっと汐華さんのもとへ。
自分を責めながら縄や目隠しを外そうとすると、ふいにも手が震えた。
「…ごめん。俺のせいだ」
「…ちがう、私が自分でここに来たの……、私のせい…」
「そーそー。游黒街に助けて欲しい人がいるとか頼んできたと思えば、真澄くんのことは解放して2度と関わるなとか命令してきてね。…だいぶ都合いいよなあ」
そんなこと、言ったのか。
そんなことをわざわざたったひとりで言いに行ったのか。
游黒街のことをSNSで探っていたときもそうだけど、汐華さんは危なっかしいよ。
もっといろいろ危機感持ったほうがいいのに、たぶん誰かのためってなると周りが見えなくなるタイプなんだ。
「なんで……そこまで…?」
そこまでするんだよ。
なんでそこまで、できるんだよ。
俺が汐華さんにどれだけひどいことしてきたと思ってる?