俺を恨んでいいよ、汐華さん。
ぜんぶ俺のせいだよ。

俺があんな組織と関わってしまったから、俺が汐華さんに近づいたから。


だから俺を恨んで。


って言わないと、たぶん恨んでくれないでしょ。



「東(あずま)ァァァァ!!!」


「お。」



勝算はない。

勝算はないけど、とくに頼れる人間も俺には居ないから。


だったらせめて汐華さんだけはどうにか助けられればいいと、ひとりで倉庫に向かった。



「んーっ!んー…ッ」



俺の声に気づいたのか、縛り付けられた彼女は椅子を揺らすように不自由ななかでも訴えかけてくる。


今まで、なにかに本気で向き合ったことが俺にはなかった。

それは俺が、だれかに本気で向き合ってもらったこともなかったからだ。