千石side




俺のスマホに差出人不明の写真が送られてきたのは、たまたま開いたバイト中のことだった。


腹の底から怒りが逆上してくるのが分かった。

とうとうここに手を出したかと、俺はすぐに適当なことを言ってバイトを抜け出し、心当たりが浮かぶ人物へと電話をかける。



『戻ってきなよ、真澄くん』


「…上の命令?」


『んー?俺の独断と偏見だけど』


「独断と偏見にしてはずいぶん格好悪いことするね」


『いや俺だってさー、ここまでしたくないんだよ?使えない下っぱを切り捨てることは簡単だけど、やっぱなかなか役に立つ幹部が減るって面白くないから。…組織のためにも』



なにがここまでしたくない、だよ。

女が泣いて耐えて叫んでいるところにしか興奮を感じないとか言ってるサイコパス野郎が。


普段めんどくさい役目は下にやらせるくせ、こういう願ってもいないときに出てくる。


それが0のナンバー2と言われている危険人物だった。