そのための私たちだよ───、

とでも言うように、絃姉は旦那へと笑いかける。



「絃織、できるよね?私の自慢の夫だもん!かっこいい~!ご褒美は一緒にバニラアイス食べよーね?」


「…マジか。余裕でやるしかねえわ」



尻拭い、してくれるのか。

僕が残した足跡を、ぜんぶ綺麗に消してくれるっていうのか。



「ここはシロのお家。由季葉のお家。…由季葉を連れてここに一緒に帰ってくること、頼りになりまくるおねーちゃんと約束!」


「…っ、」


「その約束が守れれば上々だよ、シロ」



身体に自由が戻って、僕は無我夢中にひまわり園を飛び出した。

外で待機してくれている高級車に乗り込み、情報すべてを彼女と共有する。



「……会えるんだよ、息子に」



外の世界で、こっちの世界で。

だから今日くらいはサングラス、外してもいいんじゃないですか。


言葉なき彼女の運転は、いつもより頼りなかった───。