「……シロ、」


「ほんとに…、それだけなんだって……っ」



それだけで良かったんだって。

そしたら、こんなことになってしまった。


小さな頃の約束を守りたかっただけ。
自分のためにも、守りたかった。


でもぜんぶ、上手くいかなかった。

泣いて訴えたいわけじゃなかったけど、悔しさと情けなさに止まらなかった。



「ずっとずっと…僕はこのためだけに動いてた…っ、それが僕の存在理由で……、ユキちゃんだけが僕にとっての光だったから……っ」



それしかなかったよ。

僕は自分の親を思って涙も流せないような男だ。


だってそれすら、わからないから。


記憶にもない。
顔も名前も知らない、宛てもない。



「…佳祐、ちょっと来い」


「え、俺、ですか…?」



すると絃姉の旦那さんは、僕を押さえつけながらも佳祐兄ちゃんを手招きした。

困惑しながら僕たちのそばまで来ると───バシッ!!!


かなり強めに叩かれた佳祐兄ちゃん。