「0っつう暴走族の仕業だ。北区の第2倉庫にいる」



0………、

その名前は僕も聞いたことがあった。


游黒街に住んでいれば、端くれ程度には耳にする。


なかには誘われたときもあった。

もちろん興味もなかったし断ったけど、ただならぬ奴らだってことは雰囲気で分かる。



「そのグループって、もしかして…」


「ああ。…あの街のことを知ってるガキどもで間違いない」



そう言いながら、彼の鋭い眼光は僕に一直線だった。


説教なんてレベルじゃない。

眼差しだけで僕は殺されるんじゃないかと思った。


ほんとにぜんぶを知ってる目だ。
僕の今までの行動、ぜんぶ。


………ヤクザ、ナメてた。



「そいつらが汐華 由季葉と千石 真澄に現在進行形で手ぇかけてんのは確実だ」


「っ!!」


「ちょっとシロ……!!」



飛び出した僕を言葉で止めてきたのは絃姉だったけど、物理的に止めたのはその旦那。

気づけば床に這いつくばるようにうつ伏せ、腕を背中に付けられて完全に押さえ込まれていた。