「シロ」
今までのものと正反対の音色に、どう誤魔化そうとも無意味だということを悟る。
「私たちは最初からぜんぶ分かってるからね。だから夫だって動いてる」
「っ、」
「反抗期にしては踏み込んじゃいけないところまで行きすぎなの、バカ」
でも、そこで何をしようとしていたかまでは知らないだろ。
僕がどんな目的の上に動いていたかまでは。
そしてそれがここ数年ぽっちの計画だと思ったなら大間違いだ。
僕はユキちゃんと出会った当時から、そのときからずっと練っていたんだよ。
「───場所が分かった」
「絃織(いおり)!」
そうだ、絃姉の旦那さんの名前には絃姉と同じ漢字が当てられていたことを思い出す。
普段のクールで落ち着いた風貌からは少し、殺気のようなものが溢れていた。
施設のなかに忙しく入ってきた彼は、相変わらずの漆黒色。