「シロを助けてくださいって、泣きながら頭を下げに来て」


「…え」


「でも、どんなに聞いても内容は教えてくれなかった。なにがあって、どうしてって、まったく一切ね」



シロちゃんを助けてください───その一点張りだったと。

僕があの日、屋上で泣いたからだ。
僕も詳しく話すなんかできなかったからだ。


それでもユキちゃんは、絃姉だけじゃなくその旦那にも頭を下げたという。


………僕のために。



「おかしいと思ったよ…、もっと前の時点で私たちも聞き出してれば良かったんだけど……由季葉を信じることにしちゃったんだ」



絃姉がいつのことを、なんのことを言っているかは分からないけど、彼女には心当たりがひとつどころか何個もあるんだろう。


すぐにでも動けた、絃姉のバックにいる組織を使えば。

それでも動かないという選択をあえてした結果の今だと。