「真澄にはずっと自分のことを悪く言って、なんにも気にしないくらい、嫌われるくらい悪く言って、最低な女で通して欲しいって……それが母さんとの約束だった」


「……だから…、なんでだよ、」


「母親を追って危ない場所へは近づけさせないためだよ。そして自分が背負いつづけてきた苦しみを…、最愛の息子にだけは背負わせないために」



断片的なことしか伝わってこないのは、断片的なことしか説明されないからだ。


それくらい話してはいけないタブーな何かがあって、そこも守るために仕方のないことだとするならば。


俺は母親のことを今まで、今日まで、最低な薄情者だと言いつづけてきたんだよ。

会ったら殺してやるって、もし再婚なんかしていたならその家族ごと壊して殺してやるって思いながら。


だから力がある0に入った。



「なによりも愛する息子だからこそ、真っ直ぐ澄み渡った空で飛ばせてやりたかったんだ……、16歳の母さんは」