美加は困り果ててため息をつく。
だって、どうしてあんなことになったのか自分でもわからない。

緊張していたし頭の中は真っ白だったし、なにかを念じたつもりもない。
それでも暴走してしまう力を、どう制御しろというのだろう。

「よし、それならまた練習しよう」
そう言うやいなや麻子は美加の手を掴んで大股に歩き出した。

幸い、納品を済ませたばかりで今は時間が開いているので美加もそれについて歩く。
行き着いた先は誰もいない屋上だった。

「なんか、懐かしい」
屋上へ来たのは美加の魔法が開花したとき以来だ。

まさか、またここへ来る日がくるなんて。
「さぁ、これで準備はできた」