鳥海、先輩‥。
ゴクリと息を飲み鳥海先輩の顔を見上げる。パッと見これは、明らかに私が紗良を怒ってる様にしか見えない。
どうしたら良いのか?
なんて、考える時間も無く咄嗟の嘘もつけない私。
そもそも、喧嘩なんてしていない。
でも、この重苦しい雰囲気はどこから見ても同じだと思う。
「ち、違う。私が悪かったの!翔ちゃんを驚かせてしまって‥それで‥」
「紗良、いいよ。私も悪かったんだから!」
そう言いながら紗良の頭を撫でると紗良は、目に涙を浮かべながら私に微笑む。
あー。なんで、紗良はこんなに可愛いんだろ。
私もこんな風に素直になれたら良いのにな‥。
でも、あれだな。
私が、紗良みたいになったら似合い。
「それなら良かったよ」
そう言いながら微笑む鳥海先輩。
この微笑みは、もう紗良の物なんだ。
そう思うと失恋したって言う言葉が再び心を締め付ける。