教室に戻るとすぐに一限が始まった。
「であるからしてここは~」
この授業の雰囲気懐かしい。ふと、横を見ると隣の席の女の子が筆箱をガサガサさせていた。
……焦ってる?あ、もしや……。
「あの、もしよかったらこれ使って。私2個持ってるから。」
小声でそう言い、消しゴムを渡した。
「マジ!助かる!」
授業が終わり、休憩の時間になるとその女の子に話しかけられた。
「夏樹ちゃん、さっきはありがとう!あ、私、足立真由≪まゆ≫。よろしくね!」
「こちらこそよろしく。」
「夏樹ちゃんって背高いよね?何センチ?」
「前測ったときは167㎝だったよ。」
「えー高い!かっこよ!」
「でっしょ~!うちの夏樹はかっこいいんだから!」
急に彩音が入ってきた。
「何で彩音が自慢してんだ(笑)」
俺も笑いながらツッコむ。
真由ちゃんは彩音と一緒でテニス部なんだって。しかもこのクラスの副級長というから驚きだ。
「最初、夏樹ちゃんってミステリアスなイメージあったから話しかけずらくてさ。でも今日お話ししたらめっちゃ楽しい!」
ミステリアスって。目つきとか悪かったかな。ちょっと申し訳ない。気づくと周りに女子が集まってきていた。
「その髪の毛染めてるの?」
そして会話の中でやっぱり聞かれたこの質問。
「これ、実は地毛で。よく間違われて注意されるんだよね。」
「これ地毛なの!? めっちゃ綺麗だね!」
「…あ、ありがとう。」
予想とは違った反応に少し戸惑った。
綺麗…学校で綺麗だねって言われたのは初めてだ。大体いつもは白い目で見られることが多いから。中学のときなんか地毛って知らなかった生活指導の先生に怒鳴られたこともあったのに。
それに、意外とコミュニケーションとれているんじゃないか?
というか、と高校って中学校と全然違うんだな。みんないい人っていうか、思っていたイメージと違う。
そこから3限まで授業受けて昼休み。色葉と彩音とお弁当を食べようとしていたとき、
「~~~!」「~~?~!?」
騒がしい声が聞こえて振り返った。
……あ。