ドアの前で待つのは私の友達の希海(のぞみ)望由(みゆ)礼奈(れな)

私が出席番号が隣だった望由と話すようになり、その友達だった希海と礼奈とも仲良くなった。

ただ、仲良くなったと言っても私が心を読めることを彼女らは知らない。

希海たちはみんな比較的心と表情に差がなくて、過ごしやすい、というのが一緒にいる正直な理由。

「ね、4組の野口ってかっこよくない?」

「あーわかる!顔もそうなんだけど、性格が良すぎるよねー」

合流して歩き始めるなり話し出す希海たちを私は横で眺める。

ただ唯一の問題。

それは彼女たちの話題は圧倒的に恋愛系が多いことだ。

私は「好き」も「嫌い」もわからない。

だから当然誰も好きになったことがないし、タイプとか推しとか、そういう存在もいない。