「佐山くん……のこと、?」
「なに、他にも男がいる訳?」
「い、いないよ……そんな人……」
「それも嫌。アイツが特別みたいで無理。ねぇ、俺だけ見ろよ」
また、甘い声。でも、その声は少し鋭くとがっていた。
ドキドキして、胸が痛い。
「そんなに顔赤くして、俺を誘ってるの?」
「ち、ちが……んっ」
塞がれた唇。もう、したくないのに拝めない私はバカすぎる。
「里奈」
耳元で呼ばないで……。
「いい加減、俺のものになってよ、ん」
何度も何度も角度を変えて、唇を重ねてくる。でも私はもう、限界で……。
「ゆうりっ……もう、無理」