「周りの事が見えてないって……。年下に言われるとキツイなぁ~」

「でも実際、研究対象の私さえも見えてないじゃないですか」


もう夜だというのにブラックコーヒーを飲む先生は「そうだっけ?」と首を傾げた。

もう!
この顔、本当に忘れてる!

あの日の事。
いくら先生が忘れようとも、私は覚えてる。


一緒に住み始めて数日が経った頃――

夜になって、ウサギの白い耳と尻尾が生えた私。

先生は「そろそろ研究を始めようか」とメガネをかけて、半獣人化した私をベッドに転がした。

それだけじゃなく、体のあちこちを触って「へぇ……」って嬉しそうに微笑むから。なんだかいけない事をしている気分になって、どんどん顔が赤くなった。

それに気づいた先生が「大丈夫?」って、私の顔を覗きこんだの。


『こんなに真っ赤になって……。あ、そうか暑いのか! 一枚ずつ脱がしてみよう。五分経ったら次の服を脱がす、でいいな。その都度、体温を測って何度ずつ変化があるか検証、』