「体、熱いでしょ。これ食べたら少しは、」

「い、今は、何もいらない……っ」

「翠々香……」


それでも先生は、何としてでも私にアイスを食べてほしいのか。

ソーダ味の棒付きアイスを、ぱきっと自分の口で割った。

そして手でつかみ、私の口元にあてがう。


「食べて、翠々香」

「……っ」


口をあけず、頭をぶんぶん横に振る。

すると先生は、


「――ねね」

「え、……んむっ」


いきなり名前を呼ばれて、ビックリして開けてしまった私の口に。

先生は、冷たいアイスを放り込む。

口の中の熱すぎる熱にアイスはどんどん溶けて行き、口の端から、たらりとこぼれた。