ほどなくして、
さくら姫を含む、ラフリン帝国の視察団一行がロスマン帝国に到着しました。


さくら「はじめまして。ラフリン帝国から参りました、さくら、と申します。」


ロスマン帝国の王「はるばる、ようこそお越しくださった。長旅で疲れたであろう。今日はゆっくりとお休みになるとよい。」


さくら「ありがとうございます。」


ロスマン帝国の王「わたしの息子、ソラは今出かけておる。すまないが戻り次第のご挨拶とさせていただきたい。」

さくら「…かしこまりました。」


____

______


ロン「こちらが、さくら姫様のお部屋となります。」

案内役のロンに、部屋まで案内してもらったさくら姫。


さくら「ありがとう。」

部屋に入ると、
そこには大きな窓がありました。

小春日和、とはまさにこのこと。

大きな窓は、まるで一枚の絵画のように、
窓から見える景色を美しく映していました。

さくら「なんてきれいな景色でしょう」

さくら姫は、窓際へ駆け寄り、


___ガチャッ


窓を開けました。



さくら「…!」


次の瞬間、目に飛び込んできたのは、


ソラ「…フフッ。こら、やめろって」


白馬に優しく微笑む、一人の男性の姿。
その目は、慈愛に満ちており、
馬を優しくなだめます。
笑顔は柔らかく、春の日差しに照らされるその様子は、
なんとも表現しがたいほどの美しさでした。


さくら姫「………きれい…。」


そう口にした瞬間、

__かぁぁぁ……


さくら姫のうすピンク色の頬が、
みるみるうちに赤くなりました。



____そう。
この瞬間、さくら姫は、恋に落ちたのです。



生まれて初めての、生まれたばかりの恋心。




しかし、



ソラ「…!」


その男性はさくら姫が窓から見ていることに気がづきました。
すると、


さくら「…!」

みるみるうちに、その目つきは鋭くなり、
さっきとは別人のよう。


ソラ「……」


__ヒヒッー!


そして、そのまま白馬にまたがると、
どこかへ行ってしまいました。


さくら姫「……どうして…?」



あまりの変貌に、
さくら姫はしばらく、窓際に立ち尽くしていました。