トボトボと人通りのない道を歩く。

カラスたちがカァカァと鳴きながら、バサバサッと黒い羽を広げて飛び立つ。

真っ赤に世界を焦がす夕陽が、わたしに長い影を作っていた。


彼はなぜ、わたしの名前を知っていたのだろう。

……なんて、きっと机の金属部分に貼り付けてあった名字のプレートを見たからに決まってる。


「ソーダアイスが食べたい……」


いつもと少しでも違うことが起きれば、わたしはすぐにストレスを抱えてしまう。

だから今までずっと、そんな日はソーダアイスを食べて気分をリフレッシュしてきた。

そう思い立ったわたしは、丁度通りかかったコンビニに足を運んだ。

店内はクーラーが効いて涼しく、暗い気持ちが少しはマシになった。


……本当に、夏は嫌いだ。

でも、ソーダアイスを1番美味しく食べられる季節だから、全否定はしたくない。


「いらっしゃいませー」


おそらく自分で持ってきたのであろう椅子に腰掛け、キャンディを舐めながら雑誌に目を落としている店員。

ヒゲも剃らず、髪もボサボサなのはいつものことだから気にしない。

アイスコーナーに行き、ソーダアイスの袋を2つ手に持って会計に行く。