「えぇ、…もう、帰るね」
「あっ…!待て!」

ブランコから立ち上がり、公園の出口の方へ
向かおうとした私の腕を、ヒナタが強く掴んだ
その瞬間に、嫌な記憶が脳裏に蘇った

「っ、!いやっ!!」

ヒナタがアイツと重なってしまい、
思わずヒナタの手を振り払った

「っ、ユリ、?」
「っぁ、ごめ、なさ…、」
「…どうしたんだ、?」

酷いことをしてしまったのに優しく私に問い掛けるヒナタに、

「…この場所を離れている間に色々あって、
 男性が苦手になってしまっただけ…」
「そう、か…」

私が大雑把に話すと、ヒナタは悲しそうな顔をした

「…もう、帰るから」

私は返事を聞かずに、家へと戻った


「…ただいま」

誰もいないだろうけど…
って、あれ?靴…?

「おかえりなさい!」
「おかえり」
「お母さん、お父さん?
 ただいま。帰ってたんだね」
「えぇ!お土産は部屋においてあるわ」
「ありがとう」