陸斗は夜勤中も気を使って距離をとってくれた。
男性客に話しかけられそうになったら、「どうされましたか?」と対応を何度も代わってくれた。

だけど、陸斗のことを信用したわけじゃない。
昨日初めて話した人に心を開けるような夏鈴ではなかった。

「お気遣いありがとうございます。1人で帰れるので大丈夫です。お疲れ様でした。」

夏鈴のテリトリーに入らせないようにしようという決意がみえた。

「わかった。じゃあ、連絡先教えてくれない?無事に帰れたら、着きましただけでもいいから、連絡して。心配だからさ。」

陸斗は自分のスマホを差し出し、交換を促した。流石に先輩に連絡先教えてと言われて、断るわけにはいかず、その場で交換した。

「じゃあまたねー。気をつけて。帰ったら連絡しろよ笑」

夏鈴が連絡を渋りそうなので、再度忠告をし、別れた。