夏鈴は打ち合わせ資料を作り直す。大橋に話を聞いてもらえるようにするにはどうしたらよいか考えるがなかなかいい案が思いつかない。結局残業して、とぼとぼ家に帰った。

「ただいま。」
夏鈴は小さな声で言う。

「おかえり。今日も遅かったね。」

「うん。お風呂入ってくるね。」

夏鈴はそう言って、陸斗の前から去った。今、陸斗と話すと泣いてしまいそうだった。泣いたら、陸斗にまた異動するよう言われるだろう。夏鈴は弱いところを見せたくなかった。