翌日、夏鈴は飲み会での出来事を陸斗に詳しく話した。

「夏鈴、その部署さ、残業多いし、飲み会のこともよくないよ。異動希望出したら。」

「そんなまだ、1年目の新人が異動希望なんてだせないよ。迷惑かけてばっかりなんだし。」

「でも夏鈴、食事量も減ってるし、痩せてきてるよ。心配になる。男性に対してだって恐怖心あるんだし。」

「ご飯はちゃんと食べるよ。それに男性に対する恐怖心は前より克服できてきてる。同じ部署の人は変な目で見てきてるわけじゃないもん。」

「夏鈴ー。真面目に頑張ることと無理することは違うよ。俺は心配だから、言ってるんだ。」

「私は大丈夫だから。」

「大丈夫じゃなさそうだから、言ってるんだ。昨日だって泣いてたじゃないか。」
陸斗は少しイラッとして言う。

「大丈夫って言ってるじゃん。少しずつ仕事覚えて作家さんとも意見交流できるようになってきてるの。だから、このまま頑張りたい。早く1人前になりたいの。」
夏鈴も負けじと言う。

「じゃあさ、上司に言えるの?飲み会で触らないでほしいって。言わなきゃずっとされるぞ。飲み会の度に辛い思いするつもりか。俺は上司に接触のこと言うくらいなら、異動希望出した方が夏鈴にとって楽かなって思ったんだよ。」

「ちょっと触られることくらい克服するもん。」

「なあー、俺が夏鈴が触られるのが嫌なんだけど。」

「別にちょっと触られただけだもん。陸斗が嫌だって思うようなことはされてない。」

「俺は少しでも夏鈴が触られるのは嫌なの。」

「社会に出たらいろんなことあるじゃん。陸斗の気持ちは今は関係ない。」

「関係なくないから言ってるんだろ。俺は夏鈴に怖い思いをしてほしくないんだ。」
陸斗は声を大きく言う。

「関係ないよ。陸斗にもう相談しない。」

そう言って夏鈴は家を飛び出した。