湊人と一緒にシェアハウスをして
1週間は経とうとしていた。
杏菜は、両目が見えなくなって、
生活は一変した。
身の回りの世話は、
ホームヘルパーのように
完璧にこなす湊人のおかげで
暮らしに問題はなかった。
ただ、湊人にも生活がある。
3年バイトとして勤めていた
ホストクラブをやめて、
完全に大学生を全うしていた。
それには理由があった。
湊人にとって
ホストクラブは、バイト代を稼いで、
大学費用を充てるためだった。
ほぼ、お金のためだった。
お客に200万以上するドンペリを
注文させるくらいのホストのため
貯金するくらいの
かなりの余裕はあって、
余るくらいあったが、
それでもいつ何があってもいいように
老後資金も貯めておこうと
必要資金以上に蓄えていた。
ホストを辞めても、蓄えがあるため
生活に何の問題もない。
ましてや、杏菜は視覚障害者のため、
障害者年金を受け取ることができる。
お金には苦労しない。
それ以上に大学に通う目的が強くできた。
****
湊人が通う大学の教授の
堀口雅之《ほりぐちまさゆき》氏は、
眼科の治療に、スペシャリストだった。
湊人は足繁く、堀口教授の研究室に
通っていた。
「一ノ瀬くん、今日は、前に言ってた
Python(パイソン)について
調べてみようと思うんだけど
いいかな。
きみ、情報処理技術は
かなり勉強しているよね。」
「そうですね。
Python(パイソン)は
データサイエンスに必要なものだとは
聞いています。
今ではVRで視力をあげるっていう
話もアメリカの大学で研究されている
そうですよ。
どうしたら、いち早く
日本の技術を使って、
機械を作りたいと早急に思うんですけど
どうすればいいんですか?」
「どうして、そんなに急いでいるの?
確かに世の中の人から
求められているものだとは思うけど。
あー、誰か助けたい人でもいるのかな?」
湊人はその言葉を言われて、
耳の部分だけ赤くして、
分厚くて英語で書かれた本を
広げてペラペラとめくった。
「無視、しなくてもいいんだよぉ?
一ノ瀬くん、どうしたのかな?
時差があるのかな?
こんな2mも離れてない部屋で
どういうことかな?」
「堀口教授。
この本に書いてあるんですけど、
視覚障害者向けの技術に
特化したプログラムや研究を
MIT(マサチューセッツ工科大学)
ってなっていますよ。」
「おうおう。
無視はそのままかい?
……研究熱心なのはいいけどね。
直接、電話で問い合わせしてみる?
あと、日本の高度な技術者がいる会社を
見つけないとね。半導体とか、
んー、ロボット研究が
優れてる会社かな。」
「そしたら、俺、日本の会社に
問い合わせます。
教授はアメリカの大学に
聞いていただいても?」
「はいはい。
その代わり、一ノ瀬くんが
なんでそんなに急いでいるか
理由聞かせてくれないと
返答は教えないからね。」
「………それはどうかなぁ?」
「いじわるだね、きみは。」
「個人情報で守られているので…。」
「ここでその言葉使う?
必要ないでしょう。
全く。
まぁいいけど、聞いてみるよ。」
堀口教授は、電話の受話器を持ち上げて、
アメリカのマサチューセッツ工科大学に
国際電話をかけた。
コールが鳴り響く。
1週間は経とうとしていた。
杏菜は、両目が見えなくなって、
生活は一変した。
身の回りの世話は、
ホームヘルパーのように
完璧にこなす湊人のおかげで
暮らしに問題はなかった。
ただ、湊人にも生活がある。
3年バイトとして勤めていた
ホストクラブをやめて、
完全に大学生を全うしていた。
それには理由があった。
湊人にとって
ホストクラブは、バイト代を稼いで、
大学費用を充てるためだった。
ほぼ、お金のためだった。
お客に200万以上するドンペリを
注文させるくらいのホストのため
貯金するくらいの
かなりの余裕はあって、
余るくらいあったが、
それでもいつ何があってもいいように
老後資金も貯めておこうと
必要資金以上に蓄えていた。
ホストを辞めても、蓄えがあるため
生活に何の問題もない。
ましてや、杏菜は視覚障害者のため、
障害者年金を受け取ることができる。
お金には苦労しない。
それ以上に大学に通う目的が強くできた。
****
湊人が通う大学の教授の
堀口雅之《ほりぐちまさゆき》氏は、
眼科の治療に、スペシャリストだった。
湊人は足繁く、堀口教授の研究室に
通っていた。
「一ノ瀬くん、今日は、前に言ってた
Python(パイソン)について
調べてみようと思うんだけど
いいかな。
きみ、情報処理技術は
かなり勉強しているよね。」
「そうですね。
Python(パイソン)は
データサイエンスに必要なものだとは
聞いています。
今ではVRで視力をあげるっていう
話もアメリカの大学で研究されている
そうですよ。
どうしたら、いち早く
日本の技術を使って、
機械を作りたいと早急に思うんですけど
どうすればいいんですか?」
「どうして、そんなに急いでいるの?
確かに世の中の人から
求められているものだとは思うけど。
あー、誰か助けたい人でもいるのかな?」
湊人はその言葉を言われて、
耳の部分だけ赤くして、
分厚くて英語で書かれた本を
広げてペラペラとめくった。
「無視、しなくてもいいんだよぉ?
一ノ瀬くん、どうしたのかな?
時差があるのかな?
こんな2mも離れてない部屋で
どういうことかな?」
「堀口教授。
この本に書いてあるんですけど、
視覚障害者向けの技術に
特化したプログラムや研究を
MIT(マサチューセッツ工科大学)
ってなっていますよ。」
「おうおう。
無視はそのままかい?
……研究熱心なのはいいけどね。
直接、電話で問い合わせしてみる?
あと、日本の高度な技術者がいる会社を
見つけないとね。半導体とか、
んー、ロボット研究が
優れてる会社かな。」
「そしたら、俺、日本の会社に
問い合わせます。
教授はアメリカの大学に
聞いていただいても?」
「はいはい。
その代わり、一ノ瀬くんが
なんでそんなに急いでいるか
理由聞かせてくれないと
返答は教えないからね。」
「………それはどうかなぁ?」
「いじわるだね、きみは。」
「個人情報で守られているので…。」
「ここでその言葉使う?
必要ないでしょう。
全く。
まぁいいけど、聞いてみるよ。」
堀口教授は、電話の受話器を持ち上げて、
アメリカのマサチューセッツ工科大学に
国際電話をかけた。
コールが鳴り響く。