ファンからいっぱい“好き”の気持ちをもらえるから、握手会は好きなイベントだったんだけどな。

 どうしてだろう、今日はぜんぜん満たされないや。




「ミウちゃんのお願いならなんでも聞くよ!」




 お兄さんが出ていった直後、となりのブースからそんな声がもれ聞こえてくる。

 でもすぐに次のひとが入ってきて、私は笑顔で両手を差し出した。




「来てくれてありがとうございます!」






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 握手会が終わると、オウキくんが私のもとに来た。




「リアナ、手出せ」


「うん」




 いつものハンドマッサージだ。

 私はオウキくんにもみもみと揉まれる手をながめる。