千年に一度の美少女ね…。

 顔の造形からなにがわかるってんだか。




「あのぉ…すみません。このあたりにカギなんて落ちてませんでした?」




 夜道に女の声がひびいたとき、しまったと思った。

 もうもどってきたのか。




「リアナちゃん!」


「えっ」




 男は護衛対象を羽交い絞めにする。

 めんどくさいが助けないと、と思っていると、護衛対象を俺に見せつけるように、男がせまってきた。

 まるでスポットライトを浴びるように、街灯の光を一身に受けた彼女は、たしかに…千年に一度の美少女だった。




「このかわいさを見ろ!全人類リアナちゃんのファンになる運命なんだ!」




 緑色のおおきな瞳を泳がせて、きょとんとした顔をしている少女。

 俺も演じている身だから、キャラを作っている人間はなんとなくわかるが…彼女から作り物の臭いはしなかった。

 これは、本物。