「おだまりなさい! なんの権限があって、あなたたちはわたくしに意見しているの? 王女であるわたくしに!」

 強い調子で叱責され、リーゼロッテと外務大臣は青ざめた。

「アドルフ!」

 イラリアがアドルフを呼ぶ。

「あの森に連れて行って。ドラゴンの巣を探すの。上手くいけば、お前は世界でたったひとりのドラゴンに乗る幻獣騎士になれる」
「かしこまりました」

 アドルフがヒッポグリフを呼び、イラリアが同乗する。

「お待ちください!」
「殿下!」

 リーゼロッテ達を残し、イラリアを乗せたヒッポグリフは飛び立って行ったのだった。

「どうしましょう。なんとかしないと……」

 リーゼロッテは呆然と彼らの背中を見る。下手にドラゴンに触れて怒らせたりしたら、それこそ町が壊滅してしまう。

「すぐに追いかけないと──」

 リーゼロッテは馬車に飛び乗った。しかし、ヒッポグリフに乗って空を飛ぶイラリア達には到底追いつけない。

「どうしよう」

 そのとき、ふと策が思いついた。