「どうしてそんなことを?」
「どうしてって……ラフォン領の民がより豊かに暮らせるようにです」

 リーゼロッテはなぜそんな当たり前の質問をするのかわからないと言いたげに首を傾げる。

「なるほど」

 テオドールはふっと笑う。
 そのとき、餌を食べ終えたヒッポグリフがリーゼロッテに頭を摺り寄せた。

「わわっ!」

 リーゼロッテは驚きこそしたものの、すぐに笑顔でその個体を撫で返す。

「この子達は、これからどうなるのですか?」
「幻獣騎士の候補生とマッチングさせる。ただ、野生のヒッポグリフは人が育てた個体に比べて懐きにくい。全部にパートナーが決まるまでにはしばらく時間がかかるかもしれない」
「そうなのですね」

 リーゼロッテはヒッポグリフを撫でながら相槌を打つ。

「お前だけの素敵な幻獣騎士様が早く見つかるといいわね」

 リーゼロッテはヒッポグリフをわしゃわしゃと撫でる。

「話を戻すが──」

 テオドールが口を開く。

「もしまた何かいいアイデアが浮かんだら、俺にも話してくれないか? ものによっては民間で取り組むより効率的なこともあるだろう」

「え? よろしいのですか?」