ハロウィンの夜に現れた魔界のお姫様と王子様をモチーフに、森の中にひっそりと建てられた洋館スタジオで撮影が始まった。

アンティークな家具が置かれた部屋や、蔦の絡まる壁が素敵な緑がいっぱいの庭で、カメラマンさんの指示に従ってポーズを決める。

まだカメラを向けられると緊張はするけど、最初の頃よりも自然に笑顔が作れるようになった。

「お疲れ様でした」

撮影は順調に進んで、思っていたよりも早く終了した。

「お疲れ。今日の撮影すごく良かったよ」

ポンっと後ろから肩を軽く叩かれて振り返ると、皇月先輩が笑顔でそう言ってくれた。

「ありがとうございます」

先輩に誉めてもらえるのが一番嬉しい。

「最初はどうなるかと思ったけど、これならプリンセス・プロジェクトも自信もって出場できるな」

……そうだ。わたし、肝心なこと忘れてた。

先輩は、プリンセス・プロジェクトに参加するための準備としてわたしをここに連れて来てくれたんだ。