「音夢ちゃん、おはよう。 ちゃんと迷わないで来られたのね」

後ろから声をかけられて振り向くと、美雲さんが立っていた。

「美雲さん、おはようございます。今日はよろしくお願いします」

そう言って頭を下げると、

「音夢ちゃん、もう本当にプロのモデルさんみたいね」

美雲さんが優しくそう言いながら、わたしに手紙の束を差し出した。

「この前話してたファンレターよ。メイクの順番が来るまで、良かったら読んでみて」

「え、こんなに!?」

受け取った手紙は、思っていたよりたくさんあってビックリした。

「音夢ちゃんが思っている以上に、読者の子達は音夢ちゃんのことを応援してくれているのよ。だから、自信を持って今日の撮影も頑張ってね」

美雲さんの言葉に、胸の奥がじんわり温かくなっていく。

「ありがとうございます」

わたしはお礼を言って、スタジオの隅にある椅子に座って早速手紙を読み始めた。