俺たち3人は、どんなときも
いつも同じ時間を過ごした。

悪態をつく帝を怒りながらも、
優しい眼差しで見つめる沙羅をずっと見てきた。

帝もまた、沙羅のことを大切に想っているのが伝わってきた。

俺は、そんな2人を見ているのが好きだったんだ。




そんな穏やかな日々が続いていたある日の帰り道。


その日、たまたま沙羅が
大会前で部活が長引く、ということで
俺と、帝の2人で下校していた。

なかなか2人で帰ることもない。
だから俺は、帝の気持ちを確かめたくて

風間「お前さ、沙羅のこと、どう想ってんの?」


唐突に聞いた。


帝「は?どうって、別に…」

風間「ふふ…。帝、女子みたい。」

帝「うるせーよ。」

見れば、顔がほんのり赤い。


…わかりやすいなぁ。

ちょっとからかってみるか…。


風間「帝がそんな感じなら、俺が沙羅に告白してもいいんだね?」


少し、嫌味を込めて、言ってみた。


そのとき、


ザッ____



目の前が暗くなったかと思うと、


帝「それは、いくらお前でもゆるさねぇ。沙羅は俺のもんだ!!」

立ちはだかるように立つ帝が
俺にそう言ったんだ。



風間「っ…ぷっ。」


帝「?」


風間「それが帝の本当の気持ちだね。」

にっこりと微笑み、帝にそう伝える。

帝「お前、まさかわざと…」

風間「だって帝がいつまでたっても本気にならないから。」

帝「うるせぇ!この卑怯者!」

風間「…だけど、あんまりうかうかしてると、誰かに取られちゃうよ?」


帝「!?」


風間「本当に大切なら、気持ちをちゃんと伝えることも必要だと、俺は思うよ。」

帝「…そう、だな。」


帝は珍しく素直に頷いた。

風間「俺はいつでも協力するよ。」

帝「ん。さんきゅ。」



だから、ちゃんと幸せにしてやれよ。
きっと沙羅も、お前のこと…。

そんな暖かい気持ちに包まれながら、
俺たちは並んで歩いた。



そんな俺たちの後ろに、

冷たく、残酷な運命が忍び寄っているとも知らずに。