ホッとしていたのも束の間、


相沢「…ところで、生徒会長との約束ってなんだよ。」



うっ…


それは聞かないでほしい…


美奈「あ…えーっと…」


なんでもない、と言えば、
きっと優しい相沢くんはいい気はしないだろう。


だけど…


相沢「…美奈。」

美奈「は、いっ…!」



突然呼ばれた名前に心臓が跳ね上がり
思わず変な声が出てしまった。


相沢「…フッ、そんなにビクビクすんなよ」


美奈「…」

そうやって優しく笑う相沢くんから
いつの間にか目が離せなくなっていた。


相沢「…別に無理に聞こうとは思ってないけど…」


ポンッ


相沢「少しは俺のこと、頼れよな。"友達"だろ?」


美奈「ッ…」


私の頭を撫でながら、柔らかい口調でそういう彼。


美奈「…うん!」


相沢「ん。それじゃあ、俺一回教室戻るよ。お前はもう少し休んでちゃんと治せよ。」


美奈「うん…わかった!」


相沢「よし。じゃあ、また後でな。」


そう言って背を向け、
保健室を出ようとする相沢くん。


言うなら…



今しかないっ!


美奈「…あ、あの!」


相沢「?」


美奈「…ありがとう。た…拓哉くん。」


うわ…


せっかく友達になれたなら、って思って
言ってみたけど…どうしよう…恥ずかしい…

相沢くんをチラリと見ると


美奈「!」


拓哉「おまっ…それは反則だから!」


目の前には赤い顔をした拓哉くん。

それがなんだかとても可愛くて

美奈「フフ…またね!」

思わず笑みがこぼれた。