キーンコーン…

お昼休みの始まりを告げるチャイムが鳴り響く。

だけど、そんな音は全く耳に入ってこなかった。


フワリと私を包み込む、いつもの相沢くんの優しい香り。


頭が、真っ白になっていく。



美奈「あ…の…」


相沢「…俺の方こそ…ごめん。」


え…

相沢「ずっと謝りたかった…」


ずっと…?
私、相沢くんになんかされたっけ…?


ギュウゥ…



美奈「ッ…」

抱きしめる力がさらに強くなる。


そして、



相沢「…森永。」


優しい声で、私の名前を呼んだ。


美奈「…な…に…?」

うるさい胸の音と、真っ白な頭の中。
ただ言葉を返すことしかできない。


相沢「俺は、お前の…こと、見た目なんかで判断しない。」



____ドクン…



今まで10年以上生きてきて、
ずっと欲しかった言葉。

ずっと求めていた言葉。

それを今、目の前の彼が…言ってくれている。
その事実を飲み込むのに、少し時間がかかった。


ソッ


すると、相沢くんは私から少し離れ、
改まった表情でこちらを見つめてきた。


 
相沢「俺…」




相沢「…お前が…」