どうして、相沢くんがここいるんだろう…?

そもそも、私、どうしたんだろう。


混乱と驚きを隠せないまま、辺りを見回せば、

どうやらここは保健室のよう。
壁に掛けられた時計の針は、11:55を指していた。


相沢「…よかった…。気分はどう?」


相沢くんの優しい声に、いくらかホッとした私は、
落ち着きを取り戻した。



私…


気分が悪くなって…倒れたんだ…

徐々に記憶が戻ってくる。


相沢「森永…倒れたんだよ。先生は軽い貧血だろう、って。今、急な来客中らしくて、俺が替わりに様子見てたんだ。」


静かな声で、説明してくれる相沢くん。


あんなひどい態度をとった私に
変わらずに親切にしてくれる彼の姿に
とても安堵し、なぜか泣きそうになってしまった。


…謝らなきゃ…


ちゃんと。

さっきは意識を失いかけてて、
ちゃんと、言えてない。


今、言わないと…。


思い切って顔を上げると、




ソッ…




美奈「!」



いつの間にか目の前まで来ていた相沢くんが
頬に優しく触れた。





美奈「あ…いざわくん…?」


突然のことにうまく言葉が出てこない。
吸い込まれそうな綺麗な瞳に思わず目を奪われた。



相沢「…顔色…悪いな…大丈夫か?」



…心配…してくれてるんだ…

やっぱり…優しいんだな。


美奈「…相沢くん…私…」


もう1度しっかりと謝ろうとした、そのとき___



グイッ



美奈「!!」



相沢「…何も言わなくていいから。」


気づけば、相沢くんに抱きしめられていた。