同じクラスなれた…

それがどうしようもなく嬉しくて。

だけど、向こうは俺のことなんて覚えてもいないようだ。

むしろ、気のせいなのか避けられている気もする。


そのせいで俺はなかなか彼女との距離を縮めることができなかった。


そんな日が続いたある日の昼休みのこと。
いつものように生徒は皆、各々お弁当を食べている中、



「「きゃーーーーーー！！」」


突如悲鳴のような黄色い声が廊下から聞こえた。



そのとき、


彩香「どうやら、山神帝のお通りみたいだね。」

森永美奈といつも一緒にいる友達が
そんなことを言っているのが聞こえた。


山神、帝…。

たしか、この学校1のイケメン、とか噂されていたのを聞いたことがある。


すると、

美奈「…ばかばかしい。」


冷たくそう言い放つ声が聞こえた。


彩香「美奈は嫌いだもんね、ああいうタイプ。」


美奈「だいっきらい。」


この時俺は
彼女の


“だいっきらい。”

という言葉に乗せられた想いが
なんとなく分かったような気がした。


山神帝のようにイケメンと呼ばれるやつのなかには
見かけでマウントを取ったり、
平気で傷つく言葉をぶつけてくることがあるからだ。

もちろん、みんながみんなそうとは限らないけれど。


俺はどうなんだろうか…。

彼女の瞳には、俺がどんな風に 映っているのだろう。


もしかすると、気のせいではなく
本当に避けられているのか？


自分で言うのもなんだが
周りにはよく
イケメンだ、と言われる。

だけど、それが原因で彼女に避けられているのだとしたら…。


どうしようもない疑問と不安が頭の中でグルグルと渦を巻いていた。