どうしたんだ…？

そんな疑問を心に抱き、しばらく見ていた。


すると、


カチャ…


相沢「…ッ！」

涙を拭うために、彼女はメガネを外した。

その横顔がとても綺麗で
柄にもなく、俺は見とれてしまっていた。


そんな俺に気づくことなく、
彼女の独り言は続く。


美奈「私は…真面目なんかじゃない。」

消えそう、それでいてどこか怒りがこもった声でそう呟いた彼女。


美奈「やっぱりみんなは、見た目しかみてないんだ。」


その言葉を聞いた時、
俺は初めて気がついた。

人の見た目ばかりに興味を持つ周りの奴らに
嫌気がさしていた俺と
この子は同じ気持ちだと。そして、
俺自身も、人を見た目で判断していたということに。

彼女とすれ違ったとき、俺はなんて思っていた？
結局俺だって彼女のことを見た目で判断していた。

そんなことにさえ気づかないで周りのことを悪く思っていた自分が恥ずかしかった。


それがわかった瞬間、なぜかどうしようもなく目の前の彼女を抱きしめたくなった。

素直に、ごめん。と伝えたかった。

でも、そんなことができるわけもなく、
俺はただ、彼女の横顔を見つめることしかできなかったんだ。