相沢「…じゃあ、帰ろ。」

相沢くんに送ってもらうということで
話がまとまり、
会議室を出ようと、2人で入り口へ向かう。


すると___


風間「…ちょっと待ってくれるかな。」

会長に呼び止められた。


相沢・美奈「?」

風間「…えっと…名前、教えてもらっていい?」

私を見てそう言う会長。

美奈「…森永、ですけど。」

最近名乗ること多いな。
イケメンには極力関わりたくないんですけど。


風間「…森永さん、か。んー…なんか硬いな…。下の名前は?」

美奈「は?」

あ、つい本音が。

風間「森永さん、てなんか硬いなって思って。下の名前教えて。」

いや、聞こえてたけども。

美奈「硬くていいんで森永さんでお願いします。」

風間「…なるほど。君はそういう性格の女の子なのか。それじゃあ…」


ニッコリと爽やかスマイルを投げかけてきたかと思うと、


ボソッ

風間「_____。」


美奈「え…?」

意味深な一言を耳元で呟いた。

風間「だから、教えてくれる?」


"帝の秘密、教えてあげようか?"

会長が呟いた一言。


先輩の秘密…

もし、それが分かれば
先輩対策のヒントが見つかるかもしれない。

…そもそも会長なら名簿見れば名前くらいわかるだろうに!
なんでわざわざ本人に聞くんだよ。
私が名前で呼ぶことを許可したみたいじゃない。

イケメンに名前で呼ばれることは
平凡な日常を失う危険性もある。
しかも、相手はファンの多そうな会長。

どうする…


相沢「…おい、帰るぞ。」

黙って聞いていた相沢くんが
ついにしびれを切らし、私をひっぱる。


美奈「あ…」


だけどこのまま、先輩を見るたびに苦しむの?

そんな面倒くさい生活なんて
まっぴらごめんだ。

美奈「…美奈、です。」

覚悟を決めろ、私。

風間「美奈ちゃん、ね。了解♪」


私が名乗ると
またもやニッコリと爽やかスマイルを投げかける会長。

そして、


ボソッ


風間「明日の昼休み、屋上、でね。」

小声でそう囁き、ウィンクしてきた。


…信用して大丈夫なのか?

心配になってきた。