風間「…それじゃあ、みんな揃ったところで今年の文化祭について話し合いたいと思う。」


会長の一言で、話し合いが始まった。

だけど、私の頭の中はそれどころではなかった。

今日の自分の反応を見て、
これから先輩にどう立ち向かって行けばいいのか、
本気でわからなくなっていた。

今日はたまたま、
親切な相沢くんが助けてくれたけど、
毎回そうはいかない。

本当にどうしよう…。


_____


_____________…


風間「それじゃあみんな、今日はここまで!ありがとう!解散!」


そして、そのまま上の空の状態で
話し合いが終わった。


…早く帰りたい。


そう思って席を立とうとすると、



相沢「…送ってく。」


美奈「え…」

思いがけない言葉をかけられた。

ちらっと先輩の方を見ると
やはり機嫌の悪そうな顔をして
そっぽを向いていた。


相沢「…ひとりじゃ危ないし。」

窓の外を眺めながら言う相沢くん。

たしかに外はもう真っ暗だ。

だけど。


美奈「…ありがとう相沢くん。さっきも本当に助かった。でも、」

こんなに綺麗な顔で心まで綺麗な相沢くん。

私みたいな地味メガネごときで
迷惑かけてられない。


美奈「これ以上相沢くんに迷惑かけられない。だから大丈夫。ありがとう。」


そう言い残して、
私は会議室を出ようとした。

___が、


グイッ


美奈「!」

強く腕を引かれ、振り返ると、

相沢「…迷惑なんかじゃない。俺が送りたいから送る。それでもダメか?」

強く、それでいて優しい瞳で
訴えかける相沢くん。


美奈「…」

…なんでこんなにも親切なの?
彩香…相沢くん、ものすごくいい人だよ…

相沢「…それに、聞きたいこともある。」

美奈「え…」

相沢「…ダメ、か?」

ここまで言われたら、
断る理由もない…。


美奈「…お願い…します…」


ポン__


相沢くんは、私の頭に手をかざし

相沢「…おう。」


優しく微笑んだ。