相沢くん、何を言いかけたんだろう。


帝「ふん。二度と現れんな!」


大人げないやつだ。


美奈「先輩、さっさとどっかいってください。ほんときもいんですけど。」


突然現れて、所有物扱いして、
勝手に相沢くんにキレだして。


ほんと、無理だ、この人。


帝「はぁ?この俺がわざわざお前を探してやったんだ。この礼はきっちりしてもらわないとなぁ。」


美奈「頼んでませんので。」


まったく。ついていけない。


先輩はもう無視して、さっさと仕事終わらせて帰ろ。

そう思って再び、ダンボールに手を伸ばした。



その時、



グィッ__


いきなり腕を掴まれた。


美奈「なにするんですか。また邪魔する気ですか?いいかげんに___」


帝「俺が持つ。」


美奈「は?」


帝「だから、俺が持つって。」


美奈「いや、さっき思いっきり断ったじゃないですか。」


思いっきりね。


帝「うるせぇ。いいからかせ。」

そう言って無理やりダンボールを持つ先輩。


…なんなんだ。

美奈「わけわかんない。」


帝「お前みたいな地味メガネでも、一応女だからな。」

一回断ったくせに?

どんだけ気分屋なんだ。


美奈「そりゃどうも。あ、ついでにその中身、全部ホッチキスで止めて先生に渡しといてください。」

帝「はぁ?!」


美奈「先輩、さぞかし実行委員やる気満々だそうじゃないですか。先生も言ってましたよ。頑張ってください。」


帝「お前…」


美奈「私、帰るんでよろしく。」


帝「ふざけんじゃねぇよ!お前がいないと意味ねぇだろ!」



美奈「下心ですか。相変わらずキモいですね。」


帝「てめぇ、地味メガネのくせに調子に乗ってんじゃねぇぞ。だれがお前なんかに下心抱くか!」


美奈「1人でやりたくないなら今すぐそのダンボール置いて帰ってくれません?私がやるので。」


帝「…」


美奈「早くしてくれません?時間ないんですけど。」


帝「…わかった。なら、」


先輩はニヤリと笑うと


ドスッ



ダンボールをその場に置き


ドンッ___


私を壁に追いやった。


…また壁ドンかよ。


美奈「またですか?今時壁ドンはネタですよ?」


帝「口のへらねぇ女だな。」


美奈「おかげさまで。」


帝「ここでこのまま俺に襲われるのと、2人でダンボールの中身片付けるの、どっちがいい?」


美奈「…クズ男」


帝「俺はこのまま襲ってやってもいいぜ?」


破滅しろ。


とは言っても、相手は男。

力でかなうわけがない。


死んでもこいつに襲われるのはごめんだ。


美奈「はぁー…わかりましたよ。そのかわり指一本私に触れないでくださいね。」


帝「可愛くねぇやつ。」


美奈「知ってます。」


こうなったら、さっさと終わらせて帰ろう。


さっさと。